「また辞めるのか。転職を繰り返す人の末路って、どうなるんだろう」
私の職歴は、新卒の会社が5か月、次が7年、その次が14年。そしていま、4社目を7か月で辞めようとしています。短い在籍と長い在籍が交互に並ぶ、胸を張れるとは言いにくい職歴です。
この記事では、転職を繰り返すと具体的に何を失うのかを、退職金・有給・失業給付・年収の公式データで整理します。「人生終わり」と言われる話が本当かも、数字で確かめます。
📖 この記事でわかること
- 転職を繰り返すデメリット7つ(お金・制度・選考)
- 自己都合の退職が5年で3回を超えると、失業給付の制限が3か月になる
- 「末路」「人生終わり」は本当か|年代別の転職後の賃金データ
- 転職を繰り返してしまう理由
- 次の1社で繰り返さないための選び方
✅ 先に結論
転職を繰り返して確実に失うのは、勤続年数に比例して増えるものです。退職金、有給の日数、そして自己都合の退職が続いたときの失業給付の待ち期間です。
一方で「転職すると年収が下がる」は、55歳までは当てはまりません。40代の転職でも、賃金が上がった人は下がった人より多いのが公式データです。問題は回数そのものより、同じ理由で辞め続けることです。
失うもの
退職金・有給の日数・失業給付の早さ
思ったより失わないもの
55歳までの転職後の賃金
止め方
辞める理由を1行にして、次の会社で確かめる
回数が多いこと自体より、同じ理由で辞め続けるのがいちばん痛いんや。何を失うかを先に知っとくだけで、次の選び方が変わるで。
転職を繰り返すデメリット7つ


まず、転職を繰り返すと何が減るのかを並べます。多くは「勤続年数」に比例して増える仕組みなので、短い在籍が続くほど効いてきます。
① 退職金が積み上がらない
退職金は勤続年数で増える会社が多く、短い在籍を重ねても大きな額になりません。
② 有給がまた10日から
有給は入社6か月後に10日から始まり、勤続年数で増えます。転職のたびにリセットです。
③ 失業給付の待ちが3か月に
自己都合の退職が5年で3回以上になると、給付制限が1か月から3か月に延びます。
④ 選考で「続くか」を見られる
書類で在籍期間の短さが並ぶと、採用側は定着するかを気にします。
⑤ 実績が積み上がりにくい
短期間では、職務経歴書に書ける成果が残りにくくなります。
⑥ 社内の信用もゼロから
仕事の任され方や人間関係は、会社を変えるたびに作り直しです。
⑦ 年金・保険の手続きが増える
退職と入社の間が空くと、国民健康保険や国民年金への切り替えが必要になります。
退職金|勤続20〜24年と35年以上で約2倍の差
厚生労働省の調査では、大学・大学院卒(管理・事務・技術職)の定年退職者の平均退職給付額は、勤続20〜24年で1,021万円、勤続35年以上で2,037万円でした。同じ定年退職でも、勤続年数でほぼ倍の差があります。
これは勤続20年以上の人だけの数字ですが、勤続年数が短いほど退職金が少ない仕組みは同じです。会社によっては、勤続が数年に届かないと支給されない規定もあるので、就業規則で確かめてください。
| 勤続年数(定年退職・大卒) | 平均退職給付額 |
|---|---|
| 20〜24年 | 1,021万円 |
| 25〜29年 | 1,559万円 |
| 30〜34年 | 1,891万円 |
| 35年以上 | 2,037万円 |
📚 出典:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」第23表(勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者、退職給付制度計)。確認日 2026年9月27日。
有給休暇|入社6か月で10日、最大の20日は6年半
労働基準法では、入社から6か月続けて働き、出勤率が8割以上なら10日の有給が付きます。その後は勤続年数に応じて増え、6年6か月で20日になります。
転職すると、この数え方は新しい会社でまたゼロからです。4社目を7か月で辞める私の場合、最初の10日を使い切れるかどうかの期間しかいなかったことになります。
失業給付|5年で3回以上の自己都合退職は、待ちが3か月
2025年4月から、自己都合で辞めたときの失業給付の給付制限は原則2か月から1か月に短くなりました。ただし、過去5年間に自己都合の退職が3回以上ある人は3か月です。
短い期間での退職が続くと、次に辞めたとき手当が出るまでの期間が長くなります。辞める前に、自分が何回目に当たるかを数えておいてください。
📚 出典:労働基準法第39条、厚生労働省・ハローワーク「令和7年4月1日から自己都合離職者の給付制限期間が変わります」。確認日 2026年9月27日。
「末路」「人生終わり」は本当か|データで見る


「転職回数が多いと人生終わり」という言葉は強いですが、年収について公式データを見ると、少なくとも55歳までは当てはまりません。
40〜44歳の転職で、前職より賃金が増えた人
45.9%
減った人は29.0%。増えた人のほうが多い(2024年)
| 年齢 | 増加 | 減少 |
|---|---|---|
| 35〜39歳 | 45.5% | 24.3% |
| 40〜44歳 | 45.9% | 29.0% |
| 45〜49歳 | 46.4% | 23.8% |
| 50〜54歳 | 39.0% | 28.2% |
| 55〜59歳 | 27.4% | 36.6% |
📚 出典:厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」表6 転職入職者の賃金変動状況別割合。確認日 2026年9月27日。
55歳を過ぎると、下がる人のほうが多くなる
表のとおり、50〜54歳までは賃金が増えた人が減った人を上回っています。逆転するのは55〜59歳で、減少が36.6%と増加の27.4%を上回ります。
つまり、年収の面で転職が不利になりやすいのは55歳以降です。40代のうちの転職は、それだけで年収が下がるとは言えません。
採用側が気にするのは回数より「また辞めないか」
転職回数を採用側がどう見ているかは、別の記事でデータを詳しくまとめています。そこでも、見られているのは回数そのものより、続かない可能性でした。
短い在籍が続いていても、辞めた理由が説明でき、次は長く働ける根拠を示せれば、回数だけで門前払いになるわけではありません。


転職を繰り返してしまう理由


繰り返す人が悪いというより、繰り返しやすい流れがあります。当てはまるものがないか見てください。
入る前に、辞めた理由と同じ条件を確かめていない
前の会社を「人間関係」で辞めたのに、次の会社を選ぶときは給料と通勤時間しか見ていない。これでは同じ理由でまた辞めることになります。
厚生労働省の調査では、40〜44歳の男性が前の会社を辞めた理由は「職場の人間関係が好ましくなかった」が16.0%で、個人的な理由などを除くと最も多くなっています。人間関係は求人票に載らないので、面接や職場見学で自分から確かめるしかありません。
体調を崩したまま、次を急いでいる
心や体の不調を抱えたまま次の職場に入ると、同じところでまたつまずきやすくなります。私も適応障害で休職し、退職した経験があります。
体調が理由なら、先に治療と休養を優先して、失業給付や傷病手当金などの制度を使いながら立て直す順番も考えてください。
辞めることでしか解決できないと思っている
配置換えや上司への相談で変わることもあります。辞める前に「社内で変えられることは残っていないか」を一度だけ考えると、辞める回数を減らせる場合があります。
それでも変わらないなら、辞めるのは正しい判断です。大事なのは、辞める理由を言葉にしておくことです。
📝 私の職歴を並べると
新卒で入社し、5か月で退職
7年勤務
14年勤務
7か月で退職予定
回数だけ見れば4社目ですが、7年と14年の在籍もあります。この記事で書いた退職金・有給・失業給付の話は、私自身にもそのまま当てはまります。


転職を繰り返しやすい人の特徴|当てはまるかチェック
次のうち、当てはまるものがいくつあるか数えてみてください。3つ以上なら、次の転職でも同じことが起きやすい状態です。
| チェック項目 | 起きやすいこと |
|---|---|
| 辞めた理由を一言で説明できない | 次の会社でも同じ不満が出る |
| 求人は給料と通勤時間だけで選んでいる | 入社後に仕事内容や人間関係で合わない |
| 面接で逆質問をほとんどしない | 職場の実態を知らないまま入社する |
| 不満があると、相談する前に辞めると決める | 社内で変えられたことも試さない |
| 内定が出た会社にすぐ決める | 比べる材料がないまま入社する |
| 入社3か月以内に「違う」と感じることが多い | 短期離職が続き、職歴の説明が難しくなる |
特徴は「性格」より「選び方」の問題
転職を繰り返す人は「我慢が足りない」と言われがちですが、表を見ると、多くは会社の選び方と確かめ方の問題です。辞めた理由を言葉にし、応募先でそれを確かめるだけで、防げるものが少なくありません。
性格を変えようとするより、選び方の手順を変えるほうが、ずっと早く効果が出ます。
「3年ごとに辞めたくなる」なら、仕事に慣れた時期の対策を
入社して数年たつと、仕事に慣れて新しさがなくなり、「このままでいいのか」と感じやすくなります。辞める前に、社内で新しい役割や担当を任せてもらえないか、資格の勉強で次の目標を作れないかを考えてみてください。
それでも変わらないなら、辞めるのは悪い判断ではありません。
次の1社で繰り返さないための選び方


繰り返さないために、次の会社を決める前にやることを順番に並べます。
これまで辞めた理由を1行ずつ書き出す
共通している理由(人間関係・労働時間・仕事内容など)を1つ決める
その理由を、応募先で確かめる方法を考える(面接の逆質問・口コミ・職場見学)
確かめられなかった会社は、条件がよくても保留にする
辞めた理由を、次の会社への「質問」に変える
たとえば労働時間で辞めたなら「月の残業は平均どのくらいですか」「繁忙期はいつですか」と面接で聞きます。人間関係なら「配属先の人数と年齢層」「前任者が辞めた理由」を聞けます。
辞めた理由は、そのまま次の会社を見極めるための質問リストになります。
求人票と労働条件通知書で、約束を書面にしてもらう
面接で聞いた話と、入社後の条件が違うこともあります。内定が出たら、労働条件通知書で給与・休日・勤務時間を確認し、話と違う点はその場で聞いてください。
求人票の見方や、入社後に条件が違ったときの対応は別の記事にまとめています。
1人で決めない。利害のない相手に話す
繰り返してしまう人ほど、辞めるのも次を決めるのも1人で決めがちです。家族や友人、転職エージェント、有料のキャリアコーチングなど、誰かに一度話すだけで、同じ理由を見落としていないかに気づけます。


転職を繰り返した経験の強みと、面接での伝え方
転職回数が多いことは、弱みだけではありません。伝え方しだいで、強みとして受け取ってもらえることもあります。
新しい環境に慣れる力
何度も職場が変わった分、新しい人間関係や仕事の進め方に慣れるのが早い
幅広い経験
複数の業界や職種を経験していて、別の視点から改善を提案できる
比べる目を持っている
いくつもの会社を見てきたので、良いやり方・悪いやり方の違いが分かる
面接では「共通する軸」と「次は長く働く根拠」をセットで
転職回数が多い人が面接で話すときは、これまでの会社に共通する軸(例:どの会社でもお客さんと直接やりとりする仕事をしてきた)を示し、そのうえで「今回はなぜ長く働けると考えたのか」を具体的に伝えます。
短く終わった職歴は、自分の確認不足も一言認めると、言い訳に聞こえません。退職理由の答え方は、別の記事で例文付きでまとめています。


職務経歴書は「会社順」より「経験の軸」でまとめる
転職回数が多いと、会社ごとに時系列で並べる書き方では、短い職歴ばかりが目立ちます。営業・接客・事務など、経験の種類ごとにまとめる書き方にすると、読む側に「何ができる人か」が伝わりやすくなります。
採用側が転職回数をどう見ているかのデータは、別の記事にまとめています。


よくある質問


転職を繰り返すと人生終わりですか?
終わりではありません。厚生労働省の調査では、40代の転職でも前職より賃金が増えた人のほうが減った人より多くなっています。ただし退職金や有給の日数は勤続年数で増えるため、繰り返すほど失うものはあります。
転職を繰り返すと失業保険はもらえなくなりますか?
もらえなくなるわけではありませんが、過去5年間に自己都合の退職が3回以上あると、給付制限が1か月ではなく3か月になります。受給には離職前2年間に雇用保険の加入期間が原則12か月以上必要です。
短期間で辞めた会社は履歴書に書かなくてもいいですか?
書いてください。雇用保険の加入記録などから分かることがあり、書かずに入社すると経歴詐称と受け取られるおそれがあります。短く終わった理由を短く添えるほうが安全です。
転職を繰り返す人の特徴はありますか?
前の会社を辞めた理由を、次の会社で確かめずに入社しているケースが多く見られます。辞めた理由を1行にして、面接でその点を質問するだけでも、同じ理由での退職は減らせます。
何回目の転職から不利になりますか?
年代や業界で違います。回数と採用側の見方のデータは、転職回数の記事で詳しくまとめています。
転職を繰り返す人の特徴は何ですか?
辞めた理由を言葉にできていない、求人を給料と通勤時間だけで選んでいる、面接で職場の実態を確かめていない、といった「会社の選び方」に共通点があることが多いです。
転職回数が多くても面接で評価されることはありますか?
あります。複数の職場に共通する経験の軸と、次は長く働けると考える根拠を具体的に伝えれば、新しい環境に慣れる力や幅広い経験として受け取ってもらえることもあります。
まとめ


✅ まとめ
- 繰り返すと失うのは、退職金・有給の日数など勤続年数で増えるもの
- 自己都合の退職が5年で3回以上だと、失業給付の制限は3か月
- 40代の転職でも、賃金が増えた人(45.9%)は減った人(29.0%)より多い
- 不利になりやすいのは55歳以降
- 問題は回数より、同じ理由で辞め続けること
- 辞めた理由を1行にし、次の会社で確かめてから決める
回数は減らせなくても、次の選び方は変えられる。そう思えると少し前を向けますね。








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