「転職3回目」は、多すぎるんでしょうか。
回数が増えるほど不利になる——そう言われますが、実際に何回から不利なのかを数字で示した話はあまり見かけません。
総務省の調査から計算すると、35〜44歳で2回以上転職している人は38.0%。女性に限れば46.4%で、ほぼ半数です。
この記事では、転職回数の実際の分布と、採用担当者が何回から気にし始めるのかを、公的統計と採用側の調査の両面から整理します。
📖 この記事でわかること
- 転職0回・1回・2回以上の割合(年代別・男女別)
- 採用担当者が転職回数を気にする割合と、躊躇する回数
- 男女で回数の分布がまったく違うこと
- 回数が多い場合に効く見せ方
- 回数より重く見られているもの
転職回数の実数|35〜44歳の38.0%は2回以上

まず、世の中の人が実際に何回転職しているのかを押さえます。ここを知らないと、自分の回数が多いのか少ないのか判断できません。
| 年齢 | 0回 | 1回 | 2回以上 |
|---|---|---|---|
| 25〜34歳 | 58.1% | 19.5% | 22.4% |
| 35〜44歳 | 44.7% | 17.3% | 38.0% |
| 45〜54歳 | 49.9% | 15.4% | 34.7% |
| 全体 | 55.7% | 16.4% | 27.8% |
2回以上が38%……思ったより多いんだね。
40歳前後なら、もう珍しくない数字だよ。
この数字の出し方
公的統計に「転職回数」を直接聞いた集計はありません。そこで就業構造基本調査の「初職と現職の関係」から組み立てています。
最初に就いた仕事が今の仕事なら転職0回、1つ前の仕事なら1回、それより前なら2回以上です。離職期間を挟んだ場合も含むため厳密な転職回数とは一致しませんが、規模感をつかむには十分な指標になります。
20代後半〜30代前半なら2回以上は22.4%
25〜34歳では、まだ0回が58.1%で多数派です。2回以上は22.4%で、5人に1人程度にとどまります。
この年代で3回目、4回目となると、確かに周囲より多い状態です。採用側が20代の回数を気にしやすいのは、統計的にも妥当な感覚だと言えます。
35〜44歳で一気に38.0%まで上がる
25〜34歳の22.4%から、35〜44歳では38.0%へ。10ポイント以上の跳ね上がりです。
0回は44.7%で半数を切ります。この年代では「転職経験がないほうが少数派」に近づいている、というのが実態です。3回目の転職を検討している40歳が特異なわけではありません。
数字を読むときの注意
この統計表の集計対象は「1993年以降に初職に就いた人」に限られています。45〜54歳の行は働き始めが遅かった層に寄っている可能性があり、35〜44歳より0回が多く出ているのはその影響とみられます。
また「初職」にはアルバイトも含まれます。学生時代のバイト先を初職としてカウントした人もいるため、正社員としての転職回数はこれより少なめに出ると考えてください。
採用側は何回から気にするのか|77.6%という数字


ここからは採用する側の話です。回数が実際にどう見られているかは、採用担当者への調査から確認できます。
🏢 採用担当者1,500名への調査
回数を懸念する
77.6%
20代・3回以上で躊躇
66.4%
出典:マイナビ「中途採用状況調査2025年版(2024年実績)」。調査時期 2024年12月16〜19日、インターネット調査、有効回答1,500名(従業員3名以上の企業で中途採用業務を担当する人事担当者)。確認日 2026年9月13日
8割近くが「回数は見ている」
選考時に転職回数を懸念すると答えた採用担当者は77.6%。ほぼ見られていると考えたほうがいい数字です。
「今は回数を気にしない時代」という言い方をたまに見かけますが、少なくともこの調査ではそうなっていません。見られている前提で、説明を用意しておくのが現実的な対応になります。
20代の分岐点は「3回以上」
回数を気にすると答えた人のうち、20代の応募者について3回以上で採用を躊躇する人が66.4%でした。1〜2回でも躊躇するという回答も3割以上あります。
つまり20代では、2回まではおおむね許容範囲、3回目から明確に見られ方が変わるということです。統計上も25〜34歳の2回以上は22.4%なので、採用側の感覚と実際の分布はおおむね一致しています。
見られているのは回数ではなく「続かない可能性」
採用側が回数を気にする理由は、回数そのものが嫌いだからではありません。採用してもまたすぐ辞めるのではないかという一点です。
だから、それぞれの転職に説明のつく事情があり、そのうえで「その事情はこの会社では起きない」と示せれば、回数の重みは下がります。回数を減らすことはできませんが、意味づけは変えられます。
条件を満たさなくても採用されるケースは43.7%
同じ調査で、「人柄が良かった」などの理由で、当初求めていたレベルや条件に満たない人を最終的に採用したケースが多かった」と答えた企業は43.7%でした。
条件は絶対的な足切りではない、ということです。回数が基準を超えていても落ちると決まったわけではありません。4割超の企業が、条件表の外側で判断した経験を持っているという事実は、押さえておく価値があります。
男女で分布がまったく違う|46.4%と31.1%


「何回まで」を平均で語ると見落とすのが、男女差です。同じ年代でも分布がはっきり違います。
| 年齢・性別 | 0回 | 1回 | 2回以上 |
|---|---|---|---|
| 25〜34歳・男性 | 62.9% | 18.6% | 18.6% |
| 25〜34歳・女性 | 52.6% | 20.7% | 26.7% |
| 35〜44歳・男性 | 51.1% | 17.7% | 31.1% |
| 35〜44歳・女性 | 36.8% | 16.9% | 46.4% |
| 45〜54歳・男性 | 56.1% | 16.0% | 27.9% |
| 45〜54歳・女性 | 42.0% | 14.7% | 43.3% |
35〜44歳女性は2回以上が46.4%で最多層
35〜44歳女性では、2回以上(46.4%)が0回(36.8%)を上回ります。この年代・性別では、複数回の転職経験があるほうが最も多い状態です。
男性の同年代は0回51.1%・2回以上31.1%で、順序が逆になります。同じ「35〜44歳で3回目」でも、置かれている文脈が男女で違うということになります。
背景はライフイベントによる離職
同じ就業構造基本調査では、過去5年間に前職を辞めた理由として「出産・育児のため」が69.6万人、「介護・看護のため」が47.4万人にのぼります。
雇用動向調査でも、40〜44歳女性が「介護・看護」を理由に挙げた割合は8.1%で、同年代男性の0.7%の10倍以上です。回数の多さが本人の定着性を表しているとは限らないことが、数字からも裏づけられます。
「1回」の割合はどの層でもほぼ一定
面白いことに、転職1回の割合は年代・男女を問わず14〜21%の狭い範囲に収まっています。
増えていくのは常に「2回以上」の側で、1回の層はほとんど動きません。一度動いた人はその後も動く傾向がある——分布はそう読めます。1回で止まるか複数回になるかは、かなり早い段階で分かれているようです。
同じ会社に居続けている人の割合や平均勤続年数については、別の記事で詳しく扱っています。


年代別の目安|自分の回数は多いのか少ないのか


ここまでの数字を、自分の年代に当てはめられる形に整理します。基準は「同年代の分布のどこにいるか」です。
20代|2回までは標準、3回目から説明が要る
25〜34歳では0回が58.1%で多数派、2回以上は22.4%です。採用側も20代の3回以上には66.4%が躊躇すると答えています。数字と採用側の感覚が一致している、唯一と言っていい年代です。
ただしこの年代は転職入職率も最も高く(女性16.8%・男性15.1%)、動くこと自体は最も多い時期でもあります。動くなとは言えないが、3回目は理由をきちんと言葉にしてから——というのが妥当な線になります。
30代後半〜40代前半|3回目でも標準の範囲
35〜44歳では2回以上が38.0%、0回は44.7%まで下がります。複数回の経験がある人が4割近くいるので、3回目が特別に目立つ年代ではありません。
この年代で問われるのは回数より中身です。転職入職率は女性が35〜39歳10.5%→40〜44歳10.2%と安定している一方、男性は7.9%→6.8%と下がります。男女で動き方は違いますが、いずれにせよ市場から締め出される段階ではありません。何ができる人かを一文で言えるかどうかのほうが効いてきます。
40代後半|回数より条件面が有利な時期
賃金面では45〜49歳(男女計)が「増えた」46.4%、増加が減少を22.6ポイント上回り、全年代で最も良い数字を出しています。転職入職率も女性は45〜49歳10.7%と高止まりしています(男性は6.0%)。
「40代を過ぎたら回数が命取り」という感覚は、少なくとも賃金の統計とは合いません。回数を気にして動かないことのほうが、この年代では機会損失になり得ます。
50代半ば以降|回数より賃金の前提が変わる
55〜59歳では賃金の増減差が−9.2ポイント、60〜64歳では−47.3ポイントと逆転します。60〜64歳で「増えた」はわずか13.6%です。
この年代で判断を分けるのは回数ではなく、賃金が下がる前提を受け入れられるかどうかです。定年や再雇用による切り替えを含む数字なので純粋な転職の結果ではありませんが、比較検討できる期間には事実上の期限がある、という点は変わりません。
年代別の転職率と賃金の全体像は、別の記事にまとめています。


回数が多い場合の見せ方|数は減らせないが意味は変えられる


回数は事実なので変えられません。変えられるのは、それがどう並んで見えるかです。
✅ 効く見せ方
- 一本の軸で並べ直す
- 各社での成果を数字で書く
- 外的な事情は事実として短く添える
❌ 逆効果になる見せ方
- 職歴を省略して隠す
- 毎回ちがう不満を並べる
- 回数の言い訳から話し始める
一本の軸を通す
4社経験していても、全部が同じ方向への移動に見えれば、回数はキャリアの厚みとして読まれます。逆に方向がばらばらだと、回数分の不安が積み上がります。
職務経歴書を書いたら、自分で読み返して「この人は何をやってきた人か」を一文で言えるかを確かめてください。言えないなら、並べ方か強調点を変える余地があります。
各社での成果を必ず添える
在籍期間が短い会社ほど「何も残していない」と見られがちです。短期間でも出した結果を1行ずつ書くだけで、印象はかなり変わります。
数字がない職種なら、担当範囲・引き継いだ件数・改善した手順など、事実で書けるもので構いません。空白の会社が並ぶことがいちばん不利です。
外的な事情は事実として短く書く
会社都合の退職は、雇用動向調査でも男性5.2%・女性5.3%あります。会社倒産・事業所閉鎖による離職は5年間で100.0万人です。本人の意思とは無関係な離職は、決して珍しくありません。
該当する場合は、事実として一行添えておくほうがいいです。書かないと自己都合の連続に見えてしまいます。介護や育児による離職も同様で、隠すより短く事実を置くほうが伝わります。
職歴は隠さない
回数を減らして見せようと短期在籍を書かない、という発想はおすすめしません。雇用保険や年金の記録から在籍期間は把握され得ますし、後から発覚したときの不利益のほうが大きくなります。
回数が多いこと自体で不採用になる会社は、そもそも入っても評価軸が合いません。正直に出したうえで通る会社を探すほうが、結果的に早いと思います。
回数って結局、数より並び方の問題なんだね。
そもそも中途採用で何が見られているのかは、新卒との比較記事で整理しています。


よくある質問


転職は何回までなら大丈夫ですか?
全社共通の基準はありませんが、実務上の目安は20代なら3回目からです。
マイナビの中途採用状況調査2025年版では、転職回数を気にする採用担当者のうち66.4%が20代の3回以上で採用を躊躇すると回答しています。
一方で35〜44歳では2回以上の人が38.0%おり、年齢が上がるほど回数の重みは相対的に下がります。
転職3回は多すぎますか?
年齢によります。25〜34歳では2回以上の人が22.4%なので、この年代の3回は周囲より多い状態です。
35〜44歳では2回以上が38.0%、女性に限れば46.4%で0回を上回るため、3回は特異な数字ではありません。回数だけを見るのではなく、年齢に対して多すぎないかで判断するのが実態に近くなります。
短期間で辞めた職歴は書かなくてもいいですか?
書くことをおすすめします。雇用保険や年金の記録から在籍期間は把握され得るため、後から発覚したときの不利益のほうが大きくなります。
短期間でも担当範囲や結果を1行添えておくと、空白のまま並ぶより印象がよくなります。
なぜ女性のほうが転職回数が多いのですか?
ライフイベントによる離職が背景にあります。就業構造基本調査では過去5年間に「出産・育児のため」に前職を辞めた人が69.6万人、「介護・看護のため」が47.4万人います。
雇用動向調査でも40〜44歳女性が介護・看護を理由に挙げた割合は8.1%で、同年代男性0.7%の10倍以上です。回数の多さが本人の定着性を表しているとは限りません。
この記事の転職回数は、どうやって計算したのですか?
公的統計に転職回数を直接聞いた集計がないため、総務省「令和4年就業構造基本調査」第134表の「初職と現職等との関係」から算出しています。
現職が初職を0回、前職が初職を1回、その他が初職を2回以上としました。離職期間を挟むケースも含むため厳密な転職回数とは一致しません。また同表は1993年以降に初職に就いた人が対象です。
まとめ


✅ まとめ:転職回数のポイント
- 35〜44歳で2回以上は38.0%。0回44.7%を追い上げている
- 25〜34歳では2回以上は22.4%。この年代の3回目は多い側
- 採用担当者の77.6%が選考時に転職回数を気にしている
- 20代なら3回以上で66.4%が採用を躊躇する
- 35〜44歳女性は2回以上46.4%で、0回36.8%を上回る
- 見られているのは回数ではなく「またすぐ辞めないか」
- 数は減らせないが、一本の軸と各社の成果で意味は変えられる
出典:総務省「令和4年 就業構造基本調査」/厚生労働省「令和6年 雇用動向調査」/マイナビ「中途採用状況調査2025年版(2024年実績)」。確認日 2026年9月13日。





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