「40代から起業なんて、遅すぎる?」
会社に雇われる働き方に疲れて、「いっそ自分で始めたい」と考える人は少なくありません。でも、お金はいくら必要なのか、失敗したらどうなるのか、分からないことだらけです。
この記事では、日本政策金融公庫の最新の調査で、実際に開業した人の年齢・資金・開業後の収入を確かめます。そのうえで、会社を辞める前にできる「小さく始める」手順をまとめます。
📖 この記事でわかること
- 開業する人の平均年齢は43.9歳。40代がいちばん多い
- 開業費用の中央値は600万円。250万円未満も2割
- 開業後の黒字・収入・労働時間の現実
- 起業するまでの手順と、届け出
- 失敗しないために、会社を辞める前にやること
✅ 先に結論
40代の起業は遅くありません。開業した人の平均年齢は43.9歳で、年代では40歳代が36.9%と最も多くなっています。開業費用も、中央値は600万円で、少額化が進んでいます。
ただ、開業後に「事業からの収入」に満足している人は28.3%だけで、約半数は週50時間以上働いています。いきなり会社を辞めるより、副業で小さく試して、お客さんがつくか確かめてから独立するのが安全です。
開業時の平均年齢
43.9歳
開業費用(中央値)
600万円
黒字基調の割合
67.0%
起業で一番怖いのは、お客さんがおらんまま会社を辞めることや。まず小さく売ってみてからでも遅くないで。
起業する人の平均年齢は43.9歳|40代がいちばん多い


日本政策金融公庫は1991年度から毎年、開業したばかりの企業を調査しています。最新の2025年度の結果を見ます。
| 開業時の年齢 | 割合 |
|---|---|
| 29歳以下 | 7.0% |
| 30歳代 | 28.0% |
| 40歳代 | 36.9% |
| 60歳以上 | 6.4% |
| 平均年齢 | 43.9歳(調査開始以来最高) |
📚 出典:日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度新規開業実態調査」(2025年12月5日公表)。同公庫が2024年4〜9月に融資した開業1年以内の企業8,517社に郵送調査、回収2,165社。確認日 2026年10月8日。 50歳代の割合は表から省略(3年連続で上昇)。
開業する人の多くは、会社員の経験が長い
開業した人の勤務経験は平均21.1年、いまの事業に関係する仕事の経験(斯業経験)は平均15.3年でした。管理職を経験した人は66.4%です。
つまり、多くの人は会社で長く経験を積んだあとに独立しています。40代で起業するのは、むしろ「よくある形」です。
動機は「自由に働きたい」「収入を増やしたい」
開業した動機(3つまで)は、「自由に仕事がしたかった」が59.7%、「収入を増やしたかった」が44.9%、「仕事の経験・知識や資格を生かしたかった」が41.1%でした。
また、開業直前の勤務先を辞めた理由は、「自らの意思による退職」が89.0%を占めています。
起業にかかるお金|開業費用の中央値は600万円


開業費用(2025年度)
中央値600万円
平均は975万円。長期的には少額化の傾向
📚 出典:日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度新規開業実態調査」(2025年12月5日公表)。同公庫が2024年4〜9月に融資した開業1年以内の企業8,517社に郵送調査、回収2,165社。確認日 2026年10月8日。
250万円未満で始めた人も2割いる
開業費用の分布を見ると、「250万円未満」が20.1%、「250万〜500万円未満」が21.7%で、合わせて4割以上が500万円未満で開業しています。
店舗を構える飲食業などは費用がかかりますが、パソコン1台で始められる仕事なら、大きな初期費用はかかりません。
資金は「借り入れ」が7割、「自己資金」が2割
開業時に集めた資金は平均1,219万円で、そのうち金融機関などからの借り入れが平均827万円(67.9%)、自己資金が平均279万円(22.9%)でした。
多くの人が、日本政策金融公庫などからお金を借りて開業しています。借りるなら、返済の計画まで立ててから決めてください。
開業後の現実|黒字は67%、でも収入に満足は28%


| 開業後の状況 | 割合 |
|---|---|
| 採算が黒字基調 | 67.0% |
| 売り上げが増加傾向 | 60.1% |
| 開業に「満足」(かなり+やや) | 74.8% |
| 仕事のやりがいに満足 | 84.4% |
| 事業からの収入に満足 | 28.3% |
| 週の労働時間が50時間以上 | 49.8% |
📚 出典:日本政策金融公庫 総合研究所「2025年度新規開業実態調査」(2025年12月5日公表)。同公庫が2024年4〜9月に融資した開業1年以内の企業8,517社に郵送調査、回収2,165社。確認日 2026年10月8日。 調査時点は開業から平均15.5か月。
やりがいは大きいが、収入と時間は厳しい
開業した人の74.8%が開業に満足していて、仕事のやりがいに満足している人は84.4%と高くなっています。一方で、事業からの収入に満足している人は28.3%にとどまり、週50時間以上働く人が約半数です。
「自由」と「やりがい」は手に入りやすく、「収入」と「時間のゆとり」は簡単には手に入らない、というのが開業1年目前後の現実です。
苦労するのは「お金」と「お客さん」
開業時に苦労したことは、「資金繰り、資金調達」が56.9%、「顧客・販路の開拓」が49.9%、「財務・税務・法務の知識の不足」が36.4%でした。開業後も「顧客・販路の開拓」(48.8%)がいちばんの悩みです。
起業の前に、どうやってお客さんを見つけるかを具体的に考えておくことが、いちばん大事な準備です。
個人事業主と会社(法人)、どちらで始める?


起業には、個人事業主として始める方法と、会社を作って始める方法があります。最初の手続きと費用が大きく違います。
| 個人事業主 | 会社(株式会社・合同会社) | |
|---|---|---|
| 始め方 | 税務署に開業届を出す | 定款を作り、法務局で設立登記 |
| 始めるときの費用 | ほぼかからない | 登録免許税(株式会社は最低15万円、合同会社は最低6万円)など |
| 税金 | 所得税(利益が増えるほど税率が上がる) | 法人税(利益が大きいと有利になることがある) |
| 社会保険 | 国民健康保険・国民年金 | 役員報酬を受け取るなら、社長1人でも健康保険・厚生年金に加入 |
| 信用 | 取引先によっては低く見られることも | 会社名義で契約しやすい |
📚 出典:登録免許税法(設立登記:株式会社は資本金の0.7%で最低15万円、合同会社は0.7%で最低6万円)。そのほか株式会社は定款の認証手数料などがかかります。確認日 2026年10月8日。
迷ったら、まず個人事業主から
売上がまだ見えない段階では、手続きも費用も軽い個人事業主から始め、利益が増えてから会社にする人が多くいます。会社にすると、税金が有利になる場合がある一方で、社会保険料の負担や毎年の決算の手間が増えます。
どちらが得かは利益の額によって変わるので、会社にするか迷ったら税理士に試算してもらうと確実です。
個人事業主の開業届は、事業を始めてから1か月以内
個人事業主として始めるなら、事業を始めた日から1か月以内に、税務署に開業届を出します。節税につながる青色申告をしたい場合は、「青色申告承認申請書」も期限内に出してください(原則として事業開始から2か月以内)。
どちらも、国税庁のサイトから書式を入手でき、オンラインでも提出できます。
起業するには|会社を辞める前にやる手順


今の経験・スキルで何を売るかを決める
会社のルールを確認し、副業として小さく売ってみる
お客さんがつくか、月いくら稼げるかを数か月確かめる
生活費の半年〜1年分の蓄えと、必要なら借り入れの計画を立てる
独立したら、税務署に開業届を出す(法人なら会社設立の登記。司法書士などに代行を頼む方法もある)
「アイデアがない」なら、今の仕事の延長から考える
「起業したいけどアイデアがない」という人は多いですが、調査を見ても、開業した人の多くはいまの事業に関係する仕事を長く経験しています。新しいことを思いつくより、これまでの仕事で困っていたこと、頼まれていたことから考えるほうが、お客さんを見つけやすくなります。
スキル販売のサービスで、自分の経験を小さく出品してみるのも1つの方法です。
副業で試すときは、会社のルールと住民税に注意
会社員のまま副業で試すなら、就業規則の副業の決まりを確認してください。副業の所得が出たら、確定申告や住民税の申告も必要です。
副業がバレる仕組みと、隠さずに続ける方法は別の記事でまとめています。


起業のときに使える支援と融資


日本政策金融公庫の融資
これから事業を始める人向けの融資がある。この記事の調査も、同公庫から融資を受けて開業した企業が対象
市区町村の創業支援
創業相談やセミナー。条件を満たすと会社設立の登録免許税が軽くなる制度もある
商工会議所・商工会
事業計画の相談や、記帳・税務の指導を受けられる
融資を受けるなら、事業計画書と自己資金がカギ
日本政策金融公庫の調査では、開業時の資金調達は平均1,219万円で、その7割近くが借り入れでした。融資の審査では、事業計画の中身と、自分でどれだけお金を用意したか(自己資金)が見られます。
会社員のうちから少しずつ貯めておくことが、借りやすさにもつながります。
市区町村の「特定創業支援」を受けると費用が軽くなることも
市区町村が国の認定を受けて行う「特定創業支援等事業」の支援(相談やセミナーなど)を受けると、会社を設立するときの登録免許税が軽くなるなどの優遇を受けられる場合があります。
住んでいる市区町村の創業支援の窓口で、対象かどうかを確認してください。
失敗しないために|起業か転職かを決める前に


起業すると、会社員の保険や年金から外れる
個人で独立すると、会社の健康保険と厚生年金から、国民健康保険と国民年金に切り替わります。保険料は全額自己負担になり、将来の年金も会社員より少なくなる仕組みです。
収入が不安定な最初の時期に、こうした固定費が重くのしかかることは知っておいてください。
起業した人向けの失業給付の特例もある
会社を辞めて起業した人が、事業をやめて再び仕事を探す場合に備えて、失業給付を受けられる期間を最大3年まで延ばせる「事業開始等による受給期間の特例」があります(2022年7月から)。申請は事業を始めた日の翌日から2か月以内など条件があるので、会社を辞めるときにハローワークで確認してください。
退職後にもらえるお金は、別の記事で一覧にしています。


「収入を増やしたい」だけなら、転職のほうが早いことも
開業の動機で「収入を増やしたかった」は44.9%ありますが、開業後に収入に満足している人は28.3%でした。収入を上げることだけが目的なら、年収の高い職種や会社に転職するほうが、早く確実なこともあります。
起業と転職、両方の選択肢を比べたうえで決めてください。


よくある質問


40代からの起業は遅いですか?
遅くありません。日本政策金融公庫の2025年度調査では、開業時の平均年齢は43.9歳で、年代では40歳代が36.9%と最も多くなっています。
起業にはいくら必要ですか?
同じ調査で、開業費用の中央値は600万円、平均は975万円でした。250万円未満で開業した人も20.1%いて、業種によって大きく違います。
起業して成功する確率はどのくらいですか?
「成功」の定義はさまざまですが、開業から平均15.5か月の時点で、採算が黒字基調の企業は67.0%でした。一方で事業からの収入に満足している人は28.3%です。
起業したいけどアイデアがありません。どうすればいいですか?
開業した人の多くは、いまの事業に関係する仕事を平均15.3年経験しています。新しいアイデアより、これまでの仕事の経験や、人から頼まれていたことから考えるのがおすすめです。
会社を辞めずに起業の準備はできますか?
できます。会社のルールを確認したうえで、副業として小さく売ってみて、お客さんがつくかを確かめてから独立する方法が安全です。副業の所得は確定申告や住民税の申告も忘れずに行ってください。
起業は個人事業主と会社のどちらで始めるべきですか?
売上が見えない段階では、手続きも費用も軽い個人事業主から始める人が多いです。会社にすると登録免許税などの費用(株式会社は最低15万円、合同会社は最低6万円)がかかり、社会保険や決算の負担も増えます。
起業するときに使える支援はありますか?
日本政策金融公庫の創業向けの融資、市区町村の創業支援(特定創業支援等事業)、商工会議所・商工会の相談などがあります。市区町村の窓口で確認してください。
まとめ


✅ まとめ
- 開業時の平均年齢は43.9歳。40代の起業は遅くない
- 開業費用の中央値は600万円。500万円未満の開業も4割以上
- 黒字は67%、満足は75%。ただし収入に満足は28%、週50時間以上が半数
- 苦労するのは資金繰りとお客さん探し
- 会社を辞める前に、副業で小さく売って確かめる
- 収入アップだけが目的なら、転職と比べてから決める
40代で始める人がいちばん多いんですね。まずは小さく試して、手応えを見てから考えます。







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