「40代の転職は、どうせ年収が下がる」
そう思われがちですが、最新の統計では40代の転職者は賃金が上がった人のほうが多数です。40〜44歳で増加45.9%に対し減少29.0%。下がるのが当たり前、という前提はもう実態と合っていません。
この記事では、氷河期世代が使える公的な制度と、年収を下げずに動くための条件を、厚生労働省の一次資料で確認しながら整理します。
📖 この記事でわかること
- 年代別の実数|転職で賃金が上がった人・下がった人の割合
- 年収を維持しやすい転職の条件
- 休職中に使える傷病手当金、離職後の基本手当(2025年4月改正を反映)
- 国の「中高年の活躍支援」で使える3つの窓口
- 制度を使う順番と、申請前に確認すること
✅ 先に結論
40代までは転職で賃金が上がる人のほうが多いのが最新データです。ただし55歳を超えると逆転します。動くなら早いほうが有利で、体調を崩している場合は制度で生活を支えながら回復を待つのが先です。
40〜44歳 賃金増加
45.9%
同 減少
29.0%
45〜49歳 増加
46.4%
55〜59歳 減少
36.6%
転職で年収は本当に下がるのか|年代別の実数

「40代の転職は年収が下がる」とよく言われます。厚生労働省の雇用動向調査(令和6年)で、転職した人の賃金がどう変わったかを年代別に見ます。
📊 転職で賃金が「増加」した人の割合(年齢別)
※令和6年雇用動向調査。前職の賃金と比べた変化。
40代は「上がった人」が「下がった人」を上回る
40〜44歳は増加45.9%に対して減少29.0%、45〜49歳は増加46.4%に対して減少23.8%です。40代はどちらも増加が20ポイント前後多いという結果でした。
転職者全体でも、増加40.5%・減少29.4%と、増加が11.1ポイント上回っています。
逆転するのは55歳から
55〜59歳は増加27.4%・減少36.6%、60〜64歳になると減少が60.9%に跳ね上がります。定年や再雇用が絡むためです。
つまり「年齢が上がるほど下がる」のは事実ですが、その分岐点は40代ではなく50代後半です。動くかどうか迷っているなら、時間は味方ではありません。
📚 出典:厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」表6(転職入職者の賃金変動状況)。確認日 2026年9月20日。
40代でも上がる人のほうが多いんか。イメージと違うな。
せや。ただ全員やない。上がる人には共通点があるから、次で見ていこか。
年収を下げずに動くための条件


増加した側に入りやすいのは、次のような転職です。
同じ業界・同じ職種で動く
- 業界知識の説明が不要で、即戦力として評価されやすい
- 賃金テーブルを下げる理由が少ない
- 異業種+異職種の同時変更は条件が下がりやすい
資格・専門性が要る仕事
- 年齢より「できること」で判断されやすい
- 代替が難しい経験があると交渉しやすい
管理経験を数字で説明できる
- 人数・担当範囲・改善した内容を具体的に言える
- 「役職に就いていた」だけでは評価されにくい
条件が合わないなら、動かない判断も正解
提示条件を受け入れられずに転職を見送るのは、失敗ではありません。市場の状況が自分に不利な時期に無理に動かない、という判断も合理的です。
ただし、55歳を過ぎると条件は厳しくなります。「いつかやる」なら、いつやるかは決めておいてください。
休職・離職後に使える制度


体調を崩した、あるいは辞めたあとに使える制度です。働ける状態かどうかで、使う制度が変わります。
| 制度 | 対象になる状態 | 金額の考え方 | 窓口 |
|---|---|---|---|
| 傷病手当金 | 病気やけがで働けない(在職中に休職) | 標準報酬日額の3分の2。通算1年6か月まで | 健康保険(協会けんぽ・健保組合) |
| 基本手当(失業保険) | 働ける状態で求職中 | 賃金日額×給付率(45〜80%)×所定給付日数 | ハローワーク |
| 再就職手当 | 早く再就職が決まった | 支給残日数×60%(残日数が3分の2以上なら70%)×基本手当日額 | ハローワーク |
| 教育訓練給付 | 指定講座で学び直す | 一般20%・特定一般40〜50%・専門実践は最大80% | ハローワーク |
傷病手当金と基本手当は同時に受け取れない
傷病手当金は「働けない人」、基本手当は「働ける状態で仕事を探している人」が対象です。条件が正反対なので、同時受給はできません。
働けない状態が続くなら、基本手当は受給期間の延長を申請して、回復してから受け取る形になります。
2025年4月の改正|自己都合でも給付制限は原則1か月
自己都合退職の給付制限は、2025年4月から原則2か月→1か月に短縮されました。さらに、離職前1年以内または離職後に指定の教育訓練を受けた場合は給付制限がなくなります。
ただし5年以内に3回以上自己都合で辞めている場合は3か月のままです。
氷河期世代がつまずきやすいのは「被保険者期間」
基本手当は、原則として離職前2年間に被保険者期間が通算12か月以上必要です。短期の仕事を挟んできた人は、ここで足りなくなることがあります。
倒産・解雇や、病気などやむを得ない理由での離職(特定理由離職者)なら、1年間に6か月以上で足ります。退職理由の判断はハローワークが行うので、診断書や経緯の資料を用意してください。
📚 出典:ハローワークインターネットサービス「基本手当について」「就職促進給付」「教育訓練給付」、全国健康保険協会「傷病手当金」、2025年4月施行の雇用保険法改正(給付制限期間の短縮・教育訓練受講による解除)。確認日 2026年9月20日。受給可否は個別の審査で決まります。
退職後にもらえるお金の全体像は、制度ごとに別記事で一覧にしています。


休職からの流れや、社会保険の給付をうたう民間サービスの注意点はこちらです。


国の「中高年の活躍支援」で使える3つの窓口


かつての「就職氷河期世代支援」は、現在は中高年層まで対象を広げた「中高年の活躍支援」として続いています。厚生労働省のサイトでは、状況別に3つの窓口が案内されています。
① ハローワーク
- すぐ働きたい人向け
- 求人検索・応募、履歴書や面接の準備
- 無料の職業訓練の案内
② サポステ(地域若者サポートステーション)
- 働く準備から始めたい人向け
- 何から手をつければいいか分からない段階の相談
- 職場体験などの段階的な支援
③ 各種支援機関
- 長いブランクやひきこもり状態からの再出発
- 生活のサポートを受けながら準備できる
- 一人ひとりに合わせたプログラム
在職中でも使える|学び直しへの支援
支援は離職者だけのものではありません。在職中のスキルアップに使える給付や、キャリア相談の窓口も案内されています。
都道府県ごとに協議会があり、地域別の支援内容も公開されています。まず住んでいる地域のページを見るのが早道です。
📚 出典:厚生労働省「中高年の活躍支援のご案内」(就職氷河期世代等支援の後継。ハローワーク/サポステ/各種支援機関の3窓口、都道府県別の支援活動を掲載)。確認日 2026年9月20日。
制度と支援を使う順番


迷ったときは、この順で確認すると抜けが出ません。
いま働ける状態か。働けないなら傷病手当金(在職中の休職が前提)
退職済みなら、離職票を持ってハローワークで基本手当の手続き
被保険者期間が足りない場合は、求職者支援制度など別の枠を相談
再就職の準備は、ハローワークかサポステで相談先を決める
並行して求人サイトやエージェントで相場を確認する
ハローワークの「個別支援」を受けておくと、応募先の会社にも得がある
次の章で説明する会社向けの助成金は、対象者が「ハローワークなどで就労に向けた個別支援を受けていること」が条件のひとつです。
窓口で担当者について相談しておくことは、自分の準備になるだけでなく、正社員として雇う会社の後押しにもなります。
迷ったら、ハローワークの「ミドル世代」向けの窓口から
どの制度が自分に当てはまるか分からない段階なら、まずハローワークの中高年向けの相談窓口で状況を話してください。雇用保険・職業訓練・求人紹介を、同じ窓口でつないでもらえます。
氷河期世代を正社員で雇う会社には、国の助成金がある
2025年4月から、正社員の経験が少ない中高年を雇った会社に国が助成する制度が「中高年層安定雇用支援コース」に切り替わりました。以前の「就職氷河期世代安定雇用実現コース」は2025年3月末で終わっています。
| 中小企業 | 大企業 | |
|---|---|---|
| 1人あたりの支給総額 | 60万円(30万円×2回) | 50万円(25万円×2回) |
| 支給の対象期間 | 1年 | 1年 |
対象になる人の条件
雇い入れの日に35歳以上60歳未満で、過去5年間に正社員として働いた期間が通算1年以下、かつ過去1年間は正社員として働いていない人が対象です(会社都合の解雇などで離職した場合は例外あり)。
さらに、ハローワークなどの紹介を受けた時点で安定した職に就いておらず、就労に向けた個別支援を受けていることが条件です。
自分にとっての意味:ハローワーク経由の応募が後押しになる
この助成金は、ハローワークや民間の職業紹介事業者の紹介で、正社員として新たに雇う会社が受け取れます。条件に当てはまる人は、紹介を通して応募することで、会社が正社員での採用を決めやすくなります。
当てはまるかどうかは、ハローワークの窓口で確認してください。
📚 出典:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(中高年層安定雇用支援コース)」。確認日 2026年9月26日。
公務員の「氷河期世代採用」という道
国は、就職氷河期世代を対象にした国家公務員の中途採用試験を、2026年度から2028年度までの3年間続ける方針です。政府全体で毎年150人以上の採用を目標にしています。
| 2026年度の試験 | 内容 |
|---|---|
| 受験できる人 | 1966年4月2日〜1986年4月1日生まれ |
| 申込期間 | 2026年5月27日〜6月5日 |
| 第1次試験 | 2026年9月6日(基礎能力試験40題・90分、作文1題・50分) |
| 採用予定数 | 179人(事務131人・技術33人・刑務官15人) |
2026年度の申込は終わっている。次は2027年度
2026年度の申込期間はすでに終わっています。例年、春に試験の案内が出て、初夏に申込、秋に試験という流れです。受けるなら、2027年度の案内を人事院のページで確認してください。
地方自治体でも、氷河期世代を対象にした採用試験を行っているところがあります。住んでいる都道府県や市区町村の採用ページも見てください。
倍率は高い。ほかの動きと並行する
採用予定は全国で179人です。受験を決めても、それだけに絞らず、民間への応募やハローワークでの相談を並行してください。
📚 出典:人事院「2026年度 国家公務員中途採用者選考試験(就職氷河期世代)」、内閣官房「就職氷河期世代の国家公務員中途採用の方針」(2026年4月22日)。確認日 2026年9月26日。
雇用保険が使えないときの選択肢|求職者支援制度
被保険者期間が足りず基本手当を受け取れない人のために、別の枠が用意されています。
求職者支援制度とは
- 雇用保険を受給できない求職者が対象
- 無料の職業訓練を受けられる
- 一定の要件を満たすと月10万円の職業訓練受講給付金と通所手当が出る
主な要件
- ハローワークに求職の申込みをしている
- 働く意思と能力がある
- 収入や資産などの要件を満たす(本人収入・世帯収入・資産に基準あり)
注意点
- 訓練は原則すべての日程に出席する必要がある
- 欠席が多いと給付が止まることがある
- 給付を受けずに訓練だけ受ける選択もできる
在職中なら教育訓練給付を先に検討する
働きながら学び直すなら、雇用保険の教育訓練給付が使えます。一般教育訓練で受講費用の20%、専門実践教育訓練なら最大80%が戻ります。
対象は厚生労働大臣が指定した講座に限られます。受講前にハローワークで対象かどうかを確認してください。
📚 出典:厚生労働省「求職者支援制度のご案内」、ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付」。給付額・要件は改正されることがあります。確認日 2026年9月20日。
40代・50代はどう動いているか
同世代が実際にどれくらい動いているのかも、判断材料になります。
📊 年齢階級別の転職入職率(令和6年・一般労働者)
※令和6年雇用動向調査(図4-2・図4-3)。常用労働者数に対する転職入職者の割合。
動く人は毎年いる。ただし男性40代は5〜6%
40代男性の転職入職率は5〜6%台、40代女性は8〜10%台です。1年間に20人に1人程度が動いている計算になります。
多くはありませんが、ゼロではありません。「この年齢では無理」ではなく、条件が合う人から順に動いている、というのが実態です。
辞めた理由の1位は「収入」と「労働条件」
令和6年に転職した人が前職を辞めた理由を見ると、男性は定年・契約満了を除くと「給料等収入が少なかった」10.1%、女性は「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」12.8%が最も多くなっています。
前年より上昇幅が大きいのは、男性が「会社の将来が不安だった」、女性が「労働条件が悪かった」です。
よくある質問


氷河期世代向けの公務員試験はまだありますか?
あります。国家公務員の就職氷河期世代向けの中途採用試験は、2026年度から2028年度までの3年間実施する方針です。2026年度は1966年4月2日〜1986年4月1日生まれが対象で、採用予定は179人でした。2027年度の案内は人事院のページで確認してください。
氷河期世代の転職は、やはり年収が下がりますか?
年代によります。令和6年の雇用動向調査では、40〜44歳は賃金が増加した人が45.9%、減少した人が29.0%で、増加が上回っています。
逆転するのは55歳以降です。55〜59歳は増加27.4%・減少36.6%となります。
就職氷河期世代向けの支援はもう終わりましたか?
終わっていません。名称が「中高年の活躍支援」に変わり、対象が中高年層まで広がった形で続いています。
ハローワーク・サポステ・各種支援機関の3つが窓口です。都道府県ごとの支援内容も公開されています。
自己都合で辞めると、失業保険はすぐもらえませんか?
2025年4月から給付制限は原則1か月に短縮されました。指定の教育訓練を受けた場合は給付制限がなくなります。
ただし5年以内に3回以上自己都合で辞めている場合は3か月のままです。
傷病手当金と失業保険は両方もらえますか?
同時には受け取れません。傷病手当金は働けない人、失業保険は働ける状態で求職中の人が対象だからです。
働けない期間が続く場合は、失業保険の受給期間延長を申請しておくと、回復後に受け取れます。
非正規で短期の仕事を続けてきましたが、失業保険は使えますか?
離職前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あれば対象です。倒産・解雇や、やむを得ない理由での離職なら1年間に6か月以上で足ります。
足りない場合でも、求職者支援制度(訓練を受けながら給付金を受けられる仕組み)を相談できます。
まとめ


✅ まとめ:40代はまだ「上がる側」が多数派
- 40〜44歳は賃金増加45.9%・減少29.0%。45〜49歳も増加が上回る
- 逆転するのは55歳以降。動くなら早いほうが条件は良い
- 同業・同職種、専門性、説明できる管理経験が「上がる側」の共通点
- 働けないなら傷病手当金、働けるなら基本手当。同時受給はできない
- 自己都合の給付制限は2025年4月から原則1か月。教育訓練受講で解除
- 支援は「中高年の活躍支援」として継続中。窓口はハローワーク・サポステ・支援機関
思い込みで止まってるだけ、ってこともあるんやね。






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