「講座が30万円。半分戻るって本当なのか」
教育訓練給付は、資格講座や専門学校の費用の一部を雇用保険から返してもらえる制度です。ただし区分が3つあり、戻る割合も条件もまったく違います。
この記事では、3区分の給付率と条件、申し込みの順番を厚生労働省の資料どおりに整理します。2024年10月と2025年に変わった点も反映しています。
📖 この記事でわかること
- 一般・特定一般・専門実践の違いと給付率
- 雇用保険に何年入っていれば使えるのか
- 会社を辞めた後でも使えるのか、期限はいつまでか
- 申し込みの順番と、間に合わなくなる落とし穴
- 2024年10月・2025年4月・2025年10月の改正点
✅ 先に結論
戻る割合は講座がどの区分に指定されているかで決まります。自分で選べるものではありません。
そして受講を始める前の手続きが要ります。払い終えてから気づいても、あとから請求はできません。
まずやること
講座が指定されているかを検索システムで確認し、ハローワークに支給要件照会を出す
間に合わなくなる点
特定一般・専門実践は受講開始日の2週間前までに手続きが必要。離職者は離職の翌日から1年以内に受講開始
区分によって20%と80%。同じ「給付」でも中身が全然ちゃうねん。
教育訓練給付とは|3つの区分と戻る割合


雇用保険の被保険者、または辞めてから一定期間内の人が、厚生労働大臣の指定した講座を受けて修了したとき、費用の一部が戻ってくる制度です。
区分は3つあり、講座ごとにどれに指定されているかが決まっています。
| 区分 | 給付率と上限 | 条件を満たした場合 |
|---|---|---|
| 一般教育訓練 | 受講費用の20%(上限10万円) | — |
| 特定一般教育訓練 | 40%(上限20万円) | 資格取得+就職などで50%(上限25万円) |
| 専門実践教育訓練 | 50%(年間上限40万円) | 資格取得+就職などで70%(年間上限56万円)、 さらに賃金が5%以上上がると80%(年間上限64万円) |
📚 出典:厚生労働省「教育訓練給付制度」および同リーフレット(LL070408開若01)。上乗せの割合は2024年10月以降に開講した講座が対象で、2024年9月までに開講した講座は専門実践が最大70%、特定一般が40%です。確認日 2026年9月23日。
指定されていない講座は対象外です
内容が同じでも、厚生労働大臣の指定を受けていない講座は1円も戻りません。申し込む前に、厚生労働省の教育訓練講座検索システムで講座名を調べてください。
同じスクールでも、指定されているコースとされていないコースが混在していることがあります。
「最大80%」は誰でもではありません
80%になるのは、専門実践の講座を修了して資格を取り、就職などの条件を満たしたうえで、賃金が受講前より5%以上上がった場合です。まず支払うのは全額で、戻ってくるのは後からになります。手元の資金は先に用意しておいてください。
どの資格がどの区分なのか


同じ「資格の講座」でも、区分はばらばらです。厚生労働省のリーフレットに挙がっている主なものを分野別に並べます。
医療・福祉
- 介護福祉士(実務者研修を含む)
- 介護職員初任者研修・介護支援専門員実務研修
- 保育士・社会福祉士・登録販売者
- 理学療法士・作業療法士・歯科衛生士など
情報関係
- ITパスポート・基本情報技術者試験
- シスコ技術者認定などITSSレベル3以上
- Microsoft Office Specialist 365・VBAエキスパート
- Webクリエイター能力認定試験
輸送・機械運転
- 大型自動車第一種・第二種免許
- 中型・準中型・けん引・大型特殊
- フォークリフト運転技能講習
- クレーン・デリック運転士免許、一等無人航空機操縦士
事務・専門サービス
- 簿記検定試験(日商簿記)
- 社会保険労務士試験・行政書士・税理士
- キャリアコンサルタント・中小企業診断士
- 宅地建物取引士資格試験
大学・専門学校
- 職業実践専門課程(自動車整備・土木建築・医療など)
- 職業実践力育成プログラム
- 専門職学位(ビジネス・MOT、教職大学院など)
- 科目等履修生・履修証明
技術・製造
- 電気工事士・測量士補・自動車整備士
- 土木施工管理技術検定・建築施工管理技術検定
- 電気主任技術者試験・建築士
- 製菓衛生師・調理師
📚 出典:厚生労働省「教育訓練給付金の講座指定の対象となる主な資格・試験など」(LL070408開若01)。確認日 2026年9月23日。同じ資格名でも、講座ごとに指定の有無と区分が異なります。
大型免許・フォークリフトも対象です
見落とされがちですが、大型自動車第一種・第二種免許、けん引、フォークリフト運転技能講習、車両系建設機械の技能講習なども指定講座に含まれています。デスクワークの資格より、こちらのほうが求人につながる人もいます。
使える条件|雇用保険に何年入っていればいいか


条件は「支給要件期間」と呼ばれる雇用保険の加入年数で決まります。はじめて使う場合は短くなります。
| 区分 | 原則 | はじめて受給する場合 |
|---|---|---|
| 一般教育訓練 | 3年以上 | 1年以上 |
| 特定一般教育訓練 | 3年以上 | 1年以上 |
| 専門実践教育訓練 | 3年以上 | 2年以上 |
📚 出典:ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付制度」。確認日 2026年9月23日。
2回目以降は3年あけます
受講開始日の前日から数えて3年以内に教育訓練給付を受けたことがある場合、次の給付は受けられません。前に使ったことがある人は、前回の受講開始日を確認してください。
辞めた後でも使えますが、1年以内です
離職した人も対象ですが、離職日の翌日から受講開始日までが1年以内である必要があります。転職活動をしながら「落ち着いてから」と先延ばしにすると、期限を越えます。妊娠・出産・病気などで受講できない事情があるときは、延長の申請ができる場合があるので、ハローワークに相談してください。
申し込みの順番|先にやらないと受け取れません


この制度でいちばん多い失敗は、講座を受け終わってから制度を知ることです。順番を守れば難しくありません。
厚生労働省の教育訓練講座検索システムで、受けたい講座が指定されているか調べる
ハローワークに教育訓練給付金支給要件照会票を出し、自分が要件を満たすか確認する(電話照会は受け付けていません)
特定一般・専門実践は訓練前キャリアコンサルティングを受け、ジョブ・カードの交付を受ける
特定一般・専門実践は受講開始日の2週間前までにハローワークで受給資格確認の手続きをする
受講して修了する。費用はいったん全額支払う
一般・特定一般は修了日の翌日から1か月以内に支給申請。専門実践は受講開始から6か月ごとの期間の末日の翌日から1か月以内に申請する
出典:ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付制度」。確認日 2026年9月23日。
照会は講座が決まっていなくてもできます
支給要件照会は、受けたい講座が固まる前でも出せます。自分の加入年数で使えるのか、前回の受給から3年たっているのかを先に知っておくと、講座選びが早くなります。
2週間前を過ぎると、その講座では受け取れません
特定一般と専門実践は、受講開始日の2週間前までの手続きが要件です。講座の申込期限と、ハローワークの手続き期限は別物です。受けたい講座が決まったら、開講日から逆算してください。
2024年から変わった点


ここ2年で、この制度の周辺はまとめて改正されました。古い解説記事の数字はそのまま使えません。
| 時期 | 変わった内容 |
|---|---|
| 2024年10月1日 | 教育訓練給付金の給付率引き上げ(受講費用の最大70%→80%) |
| 2025年4月1日 | 自己都合で辞めた人が、自分で教育訓練を受けた場合の給付制限の解除 |
| 2025年4月1日 | 教育訓練支援給付金の給付率引き下げ(基本手当の80%→60%)。2026年度末までの暫定措置 |
| 2025年10月1日 | 教育訓練休暇給付金の創設 |
📚 出典:厚生労働省職業安定局雇用保険課「教育訓練休暇給付金について」(第204回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 参考資料、2025年3月12日)。確認日 2026年9月23日。
自己都合退職でも、訓練を受ければ待たずに済む場合があります
2025年4月から、離職期間中または離職日前1年以内にリスキリングのための教育訓練を受けた(受けている)場合、失業手当の給付制限が解除されます。対象には教育訓練給付の指定講座や公共職業訓練が含まれます。
自己都合退職の給付制限は原則1か月ですが、5年間で3回以上の自己都合離職だと3か月になります。
在職中に休んで訓練を受けるための給付も始まりました
2025年10月に始まった教育訓練休暇給付金は、雇用保険の被保険者が無給の教育訓練休暇を取ったときに、失業手当の基本手当と同額が出る仕組みです。被保険者期間が5年以上あることが条件で、給付日数は加入期間に応じて90日・120日・150日のいずれかです。


使うべきか、やめておくべきか


制度があること自体は良いのですが、全員が使うべきものではありません。
使ったほうがいい人
- その資格がないと応募できない求人を狙っている
- 大型免許や技能講習など、取得後の求人が実在する
- いまの仕事を続けながら受講できる
- 費用を全額いったん払える資金がある
いったん見送ってよい人
- 「何か資格を」としか決まっていない
- 実務経験が応募条件になっている職種を狙っている
- 合格前提で退職の予定を立てている
- 貯金を取り崩さないと受講費が払えない
私は社労士に2年かけて落ちました
働きながら2年勉強して、合格できませんでした。それでも年金や労働関係の知識は残り、後の仕事で役に立っています。
ただし、当時「受かったら転職する」と考えていたのは間違いでした。合格を前提に予定を組まない。これは実感として書いておきます。


よくある質問


教育訓練給付はいくら戻りますか?
一般教育訓練は受講費用の20%(上限10万円)、特定一般は40%(上限20万円)、専門実践は50%(年間上限40万円)です。
2024年10月以降に開講した講座では、資格取得や就職などの条件を満たすと特定一般が50%(上限25万円)、専門実践は70%、賃金が5%以上上がるとさらに80%(年間上限64万円)まで上がります。
雇用保険に何年入っていれば使えますか?
原則3年以上です。はじめて受給する場合は、一般と特定一般が1年以上、専門実践が2年以上に短縮されます。
前に教育訓練給付を受けたことがある人は、受講開始日の前日から3年以内だと受けられません。
会社を辞めた後でも使えますか?
使えます。ただし離職日の翌日から受講開始日までが1年以内である必要があります。妊娠・出産・病気などで受講できない場合は延長の申請ができることがあるので、ハローワークで確認してください。
講座を受け終わってから申請しても間に合いますか?
一般と特定一般は修了日の翌日から1か月以内が申請期限です。ただし特定一般と専門実践は、受講開始日の2週間前までに受給資格確認の手続きをしていないと、そもそも対象になりません。
手続きは必ず受講前に済ませてください。
自分が対象か、電話で聞けますか?
電話での照会は受け付けられていません。教育訓練給付金支給要件照会票をハローワークに提出して確認します。
受けたい講座が決まっていなくても照会はできます。
在職中でも使えますか?
使えます。在職中の受講も対象です。さらに2025年10月からは、無給の教育訓練休暇を取って訓練に専念する人向けに、教育訓練休暇給付金も始まりました(被保険者期間5年以上が条件)。
まとめ


✅ まとめ
- 区分は3つ。一般20%・特定一般40%・専門実践50%が基本
- 条件を満たすと特定一般50%、専門実践は最大80%(年間64万円)
- 支給要件期間は原則3年。はじめてなら1年(専門実践は2年)
- 離職者は離職日の翌日から1年以内に受講開始
- 特定一般・専門実践は受講開始日の2週間前までに手続き
- 2025年10月から教育訓練休暇給付金(被保険者期間5年以上)が開始


順番さえ守れば使える制度やねんけどな。後から気づいても戻らんのがきついわ。







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