「現場の仕事は、きついわりに稼げない」は本当か
ハローワークの求人賃金を職業別に見ると、いちばん高いのは建設躯体工事の月30.0万円。一般事務の22.2万円を8万円近く上回ります(令和7年度)。
この記事では、求人時点の賃金と実際に働いている人の年収の両方を、厚生労働省の統計から職種別に並べます。稼げる職種と、そうでない職種の差をはっきりさせます。
📖 この記事でわかること
- 求人賃金の職業別ランキング(入口の給料)
- 職種別の実際の年収(賃金構造基本統計調査の実数)
- 稼げる職種と稼ぎにくい職種の分かれ目
- 離職率で見る「きつさ」の実態
- 同じ職種で年収を上げる具体的な方法
✅ 先に結論
現場職がすべて低いわけではありません。建設・輸送・製造の一部は、事務職より入口の賃金が高いのが実態です。一方で、介護・清掃・警備は入口が低く、資格と役職で伸ばす設計になっています。
建設躯体工事の求人賃金
30.0万円
自動車組立の年収
約626万円
大型トラック運転者
約509万円
介護職員(男性)
約418万円
入口の給料|ハローワーク求人賃金の職業別

まず「これから入る人にいくら提示されているか」を見ます。ハローワークが受理した正社員等の求人の平均賃金(月額)です。
📊 職業別の求人賃金(月額・令和7年度)
※厚生労働省「職業安定業務統計 雇用関係指標(年度)」第10表。パートを除く常用求人の平均(受理地別)。
建設は求人の時点で事務職より8万円高い
建設躯体工事は月30.0万円、建設(躯体以外)は28.8万円。一般事務の22.2万円と比べると、月7〜8万円の差があります。
人手不足が続いている分野ほど、入口の提示が高くなっています。
介護・清掃は入口が低い
介護サービスは22.9万円、清掃は22.3万円で、全職業の平均25.9万円を下回ります。
ただしこの2分野は、資格と役職で上げていく設計です。入口の数字だけで判断すると見誤ります。
📚 出典:厚生労働省「職業安定業務統計 雇用関係指標(年度)」第10表(求人平均賃金・パートタイムを除く常用・令和7年度)。確認日 2026年9月20日。
実際の年収|職種別の実数

次に、実際に働いている人の賃金です。厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)から、月の給与×12+年間賞与で年収を計算しました。いずれも男性・企業規模計の数字です。
| 職種 | 平均年齢 | 年収(目安) |
|---|---|---|
| 自動車組立従事者 | 41.5歳 | 約626万円 |
| 機械器具・電気機械の整備・修理従事者 | 42.7歳 | 約579万円 |
| はん用・生産用・業務用機械器具組立従事者 | 42.2歳 | 約543万円 |
| 営業用大型貨物自動車運転者 | 51.6歳 | 約509万円 |
| 電気機械器具組立従事者 | 43.5歳 | 約501万円 |
| 金属工作機械作業従事者 | 42.9歳 | 約499万円 |
| タクシー運転者 | 57.3歳 | 約454万円 |
| 営業用貨物自動車運転者(大型を除く) | 50.4歳 | 約451万円 |
| 飲食物調理従事者 | 44.6歳 | 約433万円 |
| 介護職員(医療・福祉施設等) | 43.1歳 | 約418万円 |
| 警備員 | 54.3歳 | 約383万円 |
| ビル・建物清掃員 | 50.0歳 | 約328万円 |
製造の技能職は事務職と並ぶ水準
自動車組立は約626万円で、同じ調査の総合事務員(約675万円)に迫ります。整備・修理も約579万円です。
「現場だから低い」ではなく、技能が要る職種ほど高いという並びになっています。
ドライバーは年齢が高めで、賞与が小さい
大型トラック運転者は約509万円ですが、平均年齢は51.6歳です。タクシー運転者は平均57.3歳で、年間賞与は19.6万円と小さくなっています。
月給は高めでも賞与が少ない構造なので、年収で比べることが大事です。
女性の数字は別に見る必要がある
同じ調査で女性の介護職員は約371万円、男性は約418万円です。ビル清掃や製造の補助的な職種でも差があります。
男女で就いている役割や勤続年数が違うためで、求人を見るときは自分に近い条件の数字を確認してください。
📚 出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種第7表(職種・性・年齢階級別のきまって支給する現金給与額および年間賞与その他特別給与額、産業計・企業規模計)。年収は「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与」で算出した目安です。確認日 2026年9月20日。
稼げる職種に共通する3つの条件

数字が高い職種を並べると、共通点が見えてきます。
① 資格・免許が必要
- 大型・けん引免許、電気工事士、施工管理技士など
- 資格が手当や役割に直結する
- 学歴より「持っているか」で判断される
② 代わりがすぐに見つからない
- 技能の習得に時間がかかる職種ほど賃金が高い
- 自動車組立・整備・機械組立が好例
③ 人手不足が続いている
- 建設・輸送は求人賃金が全職業平均を上回る
- 採用のために条件を上げる動きが続いている
「きつい=高い」ではない
体力的にきつくても、資格が要らず代わりが見つかりやすい仕事は賃金が上がりにくい傾向です。清掃や警備の数字がそれを示しています。
きつさではなく、代わりの見つけにくさが賃金を決めていると考えるのが実態に近いです。
きつさの実態|離職率で見る

感覚ではなく、人がどれだけ辞めているかで見ます。令和6年の一般労働者の離職率です。
📊 産業別の離職率(一般労働者・令和6年)
※厚生労働省「令和6年雇用動向調査」。
建設・製造・運輸は、実は離職率が低い
製造業8.8%、運輸・郵便9.1%、建設業9.7%は、いずれも産業計11.5%を下回ります。
「きつくてすぐ辞める業界」というイメージとは逆で、入ってからの定着はむしろ良いほうです。
それでも注意すべき点はある
体力の消耗、交替勤務による生活リズムの乱れ、屋外作業の天候、事故のリスクは実在します。年齢が上がるほど続けるのが難しくなる職種もあります。
長く働くつもりなら、体を使わない役割(管理・指導・検査)に移る道があるかを入社前に確認してください。
📚 出典:厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」表4-2(産業別入職率・離職率)。確認日 2026年9月20日。
そもそもブルーカラーとは|いま需要が高い理由

ブルーカラー(ブルーワーカー)は、建設・製造・運送・整備・介護など、現場で体や技能を使って働く職種の総称です。事務職を指すホワイトカラーと対比して使われます。
言葉の整理
- 作業着の色が語源とされる呼び方
- 最近は「現場職」「技能職」と呼ばれることも多い
- 統計上は生産工程・輸送・建設・サービスなどに分かれる
需要が高い理由
- 働き手の高齢化が進み、補充が追いつかない
- 建設・運輸は求人賃金が全職業平均を上回る
- 生活インフラに関わる仕事は景気に左右されにくい
自動化との関係
- 定型の事務作業は自動化が進みやすい
- 現場で状況を見て手を動かす作業は置き換えが難しい
- ただし検査や搬送など、機械化が進む工程もある
自動化で仕事がどう変わるかは、職業別に別記事で整理しています。

ホワイトカラーとの比較|どちらが自分に向くか
同じ統計の中で並べると、違いがはっきりします。
| 比べる項目 | 現場職(例) | 事務職(例) |
|---|---|---|
| 求人賃金(月額) | 建設躯体工事 30.0万円/輸送・機械運転 25.9万円 | 一般事務 22.2万円 |
| 年収の実数 | 自動車組立 約626万円/大型トラック 約509万円 | 総合事務員 約675万円 |
| 離職率(一般労働者) | 製造8.8%/運輸9.1%/建設9.7% | 産業計11.5% |
| 評価されるもの | 資格・免許・現場経験 | 調整力・社内での実績 |
| 年齢の影響 | 体力が必要な職種は移行の設計が要る | 比較的長く続けやすい |
向いている人の分かれ目
資格を取って手当や役割で上げていくのが性に合うなら現場職、社内の調整や積み上げで上げていくほうが合うなら事務職です。
どちらが上という話ではなく、何で評価されたいかで選ぶほうが長続きします。
入口は現場職が高く、上限は事務職が高いこともある
求人賃金では現場職が上ですが、実際の年収では総合事務員が約675万円と、自動車組立の約626万円を上回ります。
現場職は入口が高く、上がり方は資格と役割で決まる。事務職は入口が低く、社内での昇進で上がる。この違いを踏まえて選ぶのが現実的です。
同じ職種で年収を上げる方法

いまの仕事を続けながら収入を上げるなら、方法は大きく3つです。
📜
資格を足す
大型・けん引、電気工事士、施工管理技士、危険物、介護福祉士など。手当がつく資格は求人票に金額が書かれていることが多く、費用を回収できるか計算しやすいです。
即効性:高
🏢
条件の良い会社に移る
同じ職種でも、企業規模と業界で賃金は変わります。求人賃金の平均を知ったうえで、いまの提示と比べてください。
即効性:高
👷
管理・指導側に移る
職長、班長、施工管理、検査など。体力の負担を減らしながら年収を保てる道です。40代以降の選択肢として現実的です。
即効性:中
求人票の給与欄に固定残業代が含まれている場合は、時間数と金額を必ず確認してください。見かけの月給が高く見える原因になります。

40代・50代でも続けられるか|職種別の平均年齢
現場の仕事は体力が心配、という声は多くあります。まず、実際に働いている人の年齢を見てください。
働いている人の平均年齢(男性・一般労働者)
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種第7表(男性・企業規模計)。確認日 2026年9月25日。
ドライバーや警備では、40代は「若い側」
大型トラックの運転者は平均51.6歳、警備員は54.3歳です。こうした職種では、40代で入っても職場の中では若い側になります。
一方、自動車や機械の組立は平均41〜42歳で、ライン作業のスピードに慣れる期間が必要です。同じ現場の仕事でも、年齢の構成はまったく違います。
長く続けるなら、体への負荷で選ぶ
立ち仕事・重い物を運ぶ仕事・夜勤の有無は、職種より会社ごとの差が大きい部分です。求人票で「取り扱う重量」「シフト」「休憩」を確認し、面接でも聞いてください。
40代以降は、現場から管理・指導の側に移る道があるかも、長く働けるかを分けます。
未経験から入るなら|免許・資格の費用を抑える
ブルーカラーの多くは、免許や資格が「経験」の代わりになります。取るための費用は、公的な制度や会社の支援で抑えられます。
大型免許やフォークリフトは、教育訓練給付の対象になりうる
厚生労働省が示す教育訓練給付の主な対象には、大型自動車第一種・第二種免許、フォークリフト運転技能講習、車両系建設機械や玉掛けの技能講習などが含まれています。
講座ごとに指定の有無が違うので、申し込む前に厚生労働省の検索システムで確認し、ハローワークで手続きを済ませてください。
「資格取得支援あり」の求人を選ぶ
運送や建設、介護では、入社後に免許や資格の費用を会社が負担する求人もあります。求人票の「資格取得支援制度」の欄と、支援を受けた後に一定期間勤める条件があるかを確認してください。
📚 出典:厚生労働省「教育訓練給付金の講座指定の対象となる主な資格・試験など」(LL070408開若01)。確認日 2026年9月25日。
職種別|求人の探し方

分野ごとに、扱っている求人が違います。目的に合う入口から見るのが早道です。
ドライバー向け求人サイトの使い勝手は、別記事で実際に検証しています。

よくある質問

ブルーカラーで一番稼げる職種は何ですか?
統計で見ると、製造の技能職が高い水準です。自動車組立従事者は年収約626万円、機械器具の整備・修理は約579万円でした(令和7年賃金構造基本統計調査・男性)。
求人時点の賃金では、建設躯体工事が月30.0万円で最も高くなっています。
現場職は事務職より給料が低いのではないですか?
職種によります。ハローワークの求人賃金では、一般事務が月22.2万円なのに対し、建設躯体工事は30.0万円、建設(躯体以外)は28.8万円です。
一方で清掃22.3万円、介護22.9万円のように、事務職と同水準かそれ以下の分野もあります。
未経験から入れますか?
分野によっては入れます。人手不足が続く建設・運輸・製造では、未経験者を採用して資格取得を支援する求人があります。
入社後にどの資格を、どこまで会社が負担して取らせてくれるかを確認してください。
体力的にいつまで続けられますか?
職種と役割によります。長く続けている人は、40代以降に職長・班長・検査・管理といった体力負担の少ない役割へ移っています。
応募前に「この会社にその道があるか」を確認しておくと、後で困りません。
現場職は離職率が高いのでは?
統計では逆です。令和6年の一般労働者の離職率は、製造業8.8%、運輸・郵便9.1%、建設業9.7%で、いずれも産業計11.5%を下回ります。
まとめ

✅ まとめ:稼げるかどうかは「職種」で決まる
- 求人賃金は建設躯体工事30.0万円が最高。一般事務22.2万円を上回る
- 年収は自動車組立約626万円、整備・修理約579万円、大型トラック約509万円
- 介護22.9万円・清掃22.3万円は入口が低く、資格と役職で上げる設計
- 離職率は製造8.8%・運輸9.1%・建設9.7%で産業計11.5%より低い
- 年収を上げる近道は、資格を足す・条件の良い会社に移る・管理側へ移る
「現場やから安い」やなくて、職種で全然ちゃうんやな。









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